どうして日本酒は辛口好きの方がツウに見えるの?美味しい辛口の見分け方

どうして日本酒は辛口好きの方がツウに見えるの?美味しい辛口の見分け方


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甘口日本酒を知らないなんてツメが甘い!こんなにも奥が深い甘口日本酒の世界』でも書きましたが、私はもともと辛口の日本酒が嫌いでした。一番最初に飲んだ日本酒が辛口のものだったらしく、舌を刺すようなあのピリピリとした刺激、辛いというよりは味がよくわからないというのが正直な感想「日本酒ってこんな味なんだなぁ…」と日本酒に対して幻滅したことを覚えています。 しかし、今では日本酒の虜、こうなった経緯については上記の甘口日本酒の記事を見ていただければと思いますが、辛口の日本酒についても夜な夜な嗜んでいるという次第でございます。

とは言え、私もすべての日本酒を飲んだことがあるというわけでもなければ、日本酒についてすべてがわかっているというわけでもありません。 日々勉強、勉強、で飲むことに忙しい私ですが、そろそろ辛口の日本酒にももっと精通したいなという思いで、辛口の日本酒にどっぷりと肩まで浸かってみました。初めて飲む日本酒はやはりワクワクが止まりませんね。いろんな発見と幸福感とで、さらに日本酒が大好きになりました。

ということで、ここでは辛口日本酒の基本のきから、おすすめの辛口日本酒まで、辛口の日本酒について徹底解剖していきたいと思います。辛口日本酒を避けている方、また辛口日本酒に目がない方、要チェックです。

画像参照元:飛騨美濃地酒蔵

なぜ日本酒=辛口というイメージがあるのか?

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タイトルにも掲げたように、多くの人は日本酒=辛口というイメージを持っているのではないでしょうか。日本酒好きな方からおすすめされて飲んだ私の初日本酒も辛口でしたし、どうも日本酒は辛口の方が旨いツウは辛口しか飲まない!のような固定観念が定着してしまっているような気がします。 私は甘いのも辛いのも、それぞれ日本酒のいいところが出ていると思うので、みなさんにはいろんな日本酒を飲んでもらいたいと思っているのですが、そもそもどうして日本酒=辛口というイメージが付いているのでしょうか

この原因を突き止めていくと、「社会情勢の移り変わり」と「日本人の食文化の変遷」に理由があるということがわかります。そして、その鍵を握るのが「日本酒辛口ブーム」。日本酒辛口ブームとは1980年代くらいから始まって2000年代後半まで続いていたと言われる、辛口こそ日本酒だ!という風潮ですが、このムーブメントの成り立ちを理解すれば日本酒=辛口というイメージがなぜ生まれたのかがわかります。

ことの発端は戦争による食料難から始まります。1940年代に起こった第二次世界大戦ではたくさんの人が戦争に従事しなければならず、食料が思うように確保できなくなります。そうすると、日本人の食文化が次第に「少しでも満腹感が得られるよう味付けの濃いもの」へと変わっていきました。また日本酒の原料として使われる米に対しても制限がかかり、多くの酒造が廃業を余儀なくされたのもこの時代。100年以上の歴史をつないで今も日本酒を造り続けている酒蔵はこのような苦難を乗り越えてきたということになるんですね。

戦争を終えた1950年代に入ってもこの余波は続き、味付けは濃い味、甘いものは嗜好品という食文化、そこにプラスしてやはり酒米の不足により、日本酒業界では「三増酒(三倍増醸清酒)」というものを造り始めます。三増酒とは、従来の日本酒に醸造アルコールや水飴、乳酸、グルタミン酸ソーダなどを添加することによって、味を整えつつ量を3倍増にするという方法で造られた日本酒のことであり、この時代の食文化も相まってとても甘ったるい味だったわけです。

そして1960年代、70年代、高度経済成長により社会情勢が変わってきます。いわゆるポストモダンと言われる時代に入り、次第に軽快なもの、明快なものなどに価値が置かれるようになります。それは食文化、また日本酒も同様で、味付けが濃ければいいという価値観が壊れるとともに、これまでの三増酒という日本酒の質の悪さが露呈し始め、このことから甘い酒=質の悪い酒というイメージが定着していくことになります。 これにより日本酒業界も消費者の声に応えるために、次第に辛口の日本酒を造るようになります。

ここに日本酒ブームの火種が生まれるのですが、その小さなムーブメントに拍車を掛けたのが、日本酒ではなくなんと同じお酒であるビールなんですね。アサヒスーパードライ!キレのある辛口ビールが消費者に大ウケ、CMの効果もあって辛口=上質、最先端というイメージが広がり、その効果は日本酒にも波及していきます。その結果、「日本酒辛口ブーム」が起こり、日本酒=辛口という固定観念が定着するようになったのです。

現在では、日本酒は辛口しか認めない!というような風潮はそこまでありませんが、この日本酒辛口ブーム時代に日本酒にどハマリしていた世代の人の中には、今でも甘口の日本酒は質が低いと思っている方もいらっしゃるようです。

辛口ってどんな味?

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辛口の日本酒と言っても、実際には唐辛子やわさび、マスタードのように本当に辛いわけではありません。この辛いという表現も実はアサヒスーパードライなどのテレビCMなどから始まった表現であり、それ以前は日本酒において辛口という表現の仕方はなかったようです。三増酒との比較、甘口の日本酒が蔓延したことによって、そのような酒と区別するために辛口という言葉を使わざるを得なかったんだとか。

そのこともあってか、辛口、甘口の日本酒を見分けるのは非常に難しいと言われています。飲んでみると「あぁほのかに甘いなぁ」とか「キレのある辛口だな!」と感じることはできますが、「辛口!」とラベルではうたっているのに飲んでみると甘く感じたり、逆に「甘口」と書いてあっても飲んでみると淡麗で舌に刺激を受けるような辛口に感じたりします。 『飲まずに日本酒の中身を知る方法!ラベルを知れば日本酒のすべてがわかる!』にも書いてますが、一般的にはラベルに表記されている「日本酒度」というものを見て甘口か辛口かを見分けます。ですが、これもまたやっかいで、一つの目安にはなりますが日本酒度がマイナスだから甘い、プラスだから辛いとは一概に言うことはできません。

日本酒度の辛口、甘口を図るにはもう一つの指標「酸度」も目安になります。酸度は口当たりの濃厚さを測る指標で、酸度が高いと濃厚だが風味は辛く、低いと淡麗だが甘く感じます。 そこで最もラベル表記と味のイメージがかけ離れないための表が上の図です。酸度と日本酒度から甘口辛口を見分けることができます。日本酒を購入する際には参考にしてみてください。

おすすめ辛口の日本酒

ということで、辛口日本酒というものについておおまかに理解が出来たと思いますので、ここで実際におすすめの辛口日本酒についてご紹介していきます。上記のことからも日本酒度が高ければいいというわけではないということをわかっていただけたと思いますので、日本酒度がただ高いわけではない旨口の日本酒をご紹介していきます。

春鹿 超辛口純米酒:+12

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どのサイトでもおすすめの辛口日本酒として紹介されている「春鹿 超辛口純米酒」ですが、やっぱり辛口日本酒としては絶大な旨さを誇るので私も紹介せざるを得ません。 ここまで超辛口!と書かれると「どんな酒なんだろう」という期待と、ちょっとした抵抗「果たして私はこれを飲みきることができるのだろうか…」といういささかの不安もありましたが、しっかりとコクがあって、深みがあって、「どうせ味もわからず、キレがすごくて舌に余韻としての刺激だけが残るようなもんなんだろうなぁ」と考えていた私の期待をいい意味で裏切ってくれました。 一つ、難点があるとすれば、どんな料理にも相性がよく食欲を増大させるという点ですかね。

画像参照元:日本酒博物館

くどき上手:+20

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こちらも人気のある辛口日本酒の王道ですよね。「くどき上手 ばくれん 吟醸」は春鹿を軽く超える日本酒度+20なんですが、フルーティという印象の強い辛口ですね。すっと消えていく後味に心地よいキレを感じ、その足跡をたどるかのようにもういっぱい、もういっぱいとその後をついて行きたくなるような日本酒です。

画像参照元:樽一瓦版

菊水の辛口:+8

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上記したように1980年代の後半より「日本酒辛口ブーム」が起こりましたが、そのブームが始まるより前、70年代にはすでに辛口ブームが来ることを予想し辛口の日本酒を造り始めました。いわば辛口界のパイオニア的存在の菊水ですが、現在販売している菊水の中でこの意志を脈々と受け継いでいるのが「菊水の辛口」です。辛口とは言いながら、実はどちらかというと甘口に感じるのがこの菊水の辛口の特徴で、辛口とうたっていたり、日本酒度のプラス数値が高いからといって必ずしも辛いというわけではないということを理解してもらうことのできる一本となっています。

また、こちらの商品は従来の瓶型だけでなくスマートパウチ型のものも販売しており、みんなで宅飲みするときなどには便利で面白い商品となっています。私も宅飲みの時は重宝してます。菊水については『菊水って昔ながらの安い酒だろ!?と思ってた私が馬鹿だった。日本酒嫌いはこれを読め!』で詳しく書いてますのでご参照ください!

画像参照元:菊水

黒松剣菱:+0.5

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菊水とは逆に、日本酒度が高くなく+0.5なのに、辛口のど真ん中、まさに辛口のスタンダードを感じることのできる日本酒が剣菱酒造の「黒松剣菱」です。これまで辛口を飲んだことがないという方、辛口の日本酒ってどんなものだろう考えている方は、まず最初に黒松剣菱が入るというのもいいですね。 日本酒辛口ブームを体験した方々、ご年配の方々がまず間違いなく「これこれ!」という辛口日本酒です。辛口日本酒の扉を開けるならこの一本からですね。

画像参照元:剣菱

森の菊川 本醸造辛口原酒:+20

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日本酒は所詮、米と水で造られた酒だから、みんな同じような味なんだろ?と思う方もいらっしゃいますが、これは明確に違います。同じ辛口だってコクを感じるもの、深みを感じるもの、フルーティな香りや風味があるもの、そして「森の菊川 本醸造辛口原酒」のようにハーブのような清々しさを感じるものもあります。 日本酒を飲んでいろんな感動を味わいたいという方は、ぜひ他の日本酒ではあまり感じることができない「日本酒のハーブ」を感じてみてください。

画像参照元:日本酒 津々浦々

刈穂 超弩級 気魄の辛口:+25

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とにかく辛い日本酒持ってこーい!俺は辛い日本酒が飲みたいんじゃーという方には、とりあえず「刈穂 山廃 超弩級 気魄の辛口」を飲ませて黙らせましょう!現存する辛口日本酒の中ではトップクラスの日本酒度を誇りますので、これでもまだ甘いという方は、もう諦めてもらうしかないですね。 原酒ならではのドストレートなボリューム感、辛口の醍醐味である鋭利なキレ、名前のインパクト、ラベルデザインからくる先入観も相まって、一種の感動を覚える辛口日本酒となっています。が、よくよく味わってみると、意外にもやわらかさ、膨らみがあるから驚き!日本酒って本当に面白いなって思わせてくれます。

画像参照元:グルメッチー☆“born again”

以上、辛口の日本酒についてのまとめでした。いかがだったでしょうか?辛口の日本酒が飲みたくなったでしょ?辛口の日本酒は飲み始めると絶対的にあてが欲しくなりますので、そこんところ覚悟しておいてください!


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