生酒って…何!?今さら聞けない日本酒の基本!生酒、生貯蔵、生詰めの違い。

生酒って…何!?今さら聞けない日本酒の基本!生酒、生貯蔵、生詰めの違い。


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生肉、生魚、生ハム、生パスタ、生ビール、生茶……生足…。生って付くだけで美味しさが増すものってたくさんありますよね。なんでなんでしょうね。新鮮だから?中にはぷりっとした食感を楽しむために生で食べるものもあります。中には新鮮さ、フレッシュさをより一層楽しむために生で飲むものもあります。

では、生酒はどうでしょうか?…生酒??聞いたことはあるし、普段何気なく見ている気がするけど、生の酒ってどういうこと?という方も多いんじゃないでしょうか?まぁそれを言っちゃえば生茶と普通のお茶の違いってなんだよ!ってことにもなりそうですが、みなさんは生酒と普通酒の違いしっかりと理解してますか?

また日本酒で言うと、生酒の他にも、生詰生貯蔵という言葉もよく使われます。これらのことがラベルに記載されていると、書いていない酒よりも美味しく見えてしまいますよね。でも普通の酒と何が違うのでしょうか? これは日本酒の味を大きく変えるとても大事なものです。これまでなんとなくで買っていた方、だいぶ損しちゃってますよ!

ということでここでは、生酒とは何か?また生詰、生貯蔵とは何か、それによって同味が変化してくるのかについてみていくことにしましょう。この記事を読み終えたころには、きっと生酒が飲みたくなっていることでしょう。

画像参照元:秋田清酒株式会社

生酒ってそもそも何なの?

いきなり核心に迫っていきますが、生酒とは一体何なのか。簡単に言えば製造過程で一切熱処理を施していない日本酒のことをいいます。この熱処理のことを日本酒造りの中では「火入れ」といいますが、「生酒」の表記がない普通のお酒は基本的に火入れを行っています!

…と、核心をついているようで疑問がさらに増えちゃいましたね。「火入れ」ってなんだよ!何のためにするんだよ!と。

ということで火入れについてみていきます。

日本酒における「火入れ」の役割とは?

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火入れとは、上の写真のように日本酒に熱を加えることを言います。火入れと言っても直接火にかけるのではなく、60~65度程度のお湯に約30分つける、あるいはプレートヒーターと言われる機械を使って日本酒の温度を一気にあげるという処理になります。こうすることによって日本酒の中に生息している菌を殺菌するんですね。

え?日本酒ってアルコール入ってるのに雑菌がいるってこと?という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。はい、います。名前を火落ち菌といいますが、彼らはアルコールでは死なず、名前通り火入れすることによってはじめて殺菌することができます。そしてこの火落ち菌を殺菌できる温度がちょうど60度程度、ということで日本酒を直接火にかけるのではなく、熱湯にくぐらせるという方法を採っているんですね。

この熱処理は、日本酒の製造工程の中で一般的には2回、搾りが行われた後に1回、そして瓶詰する前に1回施します。そうすることによって日本酒の中に生息する火落ち菌を完全に殺菌してしまうんですね。

しかし、実は火落ち菌は人間の体内に入ってもなんら害がありません。では、なぜ殺菌するのでしょうか?火入れを行う理由としてはおよそ2点。

  • 腐敗が進まないように
    アルコールの中でも生息することができる火落ち菌は、日本酒を栄養として数を増やし育っていきます。どんな食品でも放っておくと腐ってしまうように、賞味期限のない日本酒でも菌が増えすぎると腐敗が進みます。それで飲めなくなるというわけではありませんが、風味が落ちてしまいます。ということで火入れをする理由の2点目が、
  • 味を安定させるため
    となります。今では機械や冷蔵庫などの普及により昔ほど製造工程においても購入後の保存期間においても雑菌が入りにくくなりましたが、それでも火落ち菌などの働きによって味が変化してしまいます。長い期間日本酒を楽しめるよう、味が変化して劣化してしまわないよう火入れを行うのです。また、火入れを行うことによって意図的に味を変化させ、安定かつ理想の味を演出している蔵も多くあります。

つまり、生酒は腐敗が進みやすく、味が劣化しやすいといえます。それを防ぐために一般的な日本酒は火入れを行っているんですね。

画像参照元:福禄寿酒造

じゃあ、生酒のいいところって何?

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火入れを行うことによって味が安定し、日持ちもする。ならばなぜわざわざ生酒を造っている酒蔵があるのでしょうか。一言でいえば、美味いから!です。いや、もちろん味覚は人それぞれで、中には火入れしたほうが美味しい日本酒もありますが、生酒でなければ出せない味というのがあるんですね。

  • 甘口でかつ旨口の日本酒になりやすい
    生酒のすべてがそうとは限りませんが、甘口、それでいて味わい深い旨口になりやすい傾向にあります。火入れすることによって雑菌と一緒に深みが消えてしまうことから、火入れを行っていない生酒は甘くてとろりと濃い旨口になりやすいです。
  • フルーティ
    生○○とつくほかの食べ物、飲み物と同じく、生酒も新鮮でかつフレッシュ!な味わいになります。お米と水から造られている日本酒ですが、お米の種類によってはメロンやマスカットのようなフルーティな香り、味わいを醸し出すものもあります。
  • 炭酸シュワシュワ
    生酒の最大の特徴としてあげられるのが、微炭酸のようなシュワっと感があるということです。火入れをしていない日本酒は菌の活動によって、ビン詰めした後も瓶の中で炭酸ガスが発生します。この炭酸ガスが飲んだ時の炭酸感、あのシュワッっと感を演出しているのです。

たとえば精米歩合を上げたり、たとえば山田錦のようなフルーティーな要素を多く含んだ酒米を使ったりということで、上記のような味わいの日本酒を造ることは可能かもしれません。しかしながら、それではやはり生酒のあの絶妙なバランスの甘味、旨み、フルーティーでいて爽快な炭酸感を出すのは難しい。

上記のようなことから、生酒の方が火入れを施した日本酒よりも美味しい、火入れしたほうが生酒より美味しいとは一概に言えず、それぞれその製法だからこそ味わえる風味があるということに気づいてもらえると思います。ただ、生酒が嫌いな人の中には、あのセメダインみたいな匂いが無理という人が多いように、ちょっと匂いのきついものも多くなっています。

画像参照元:ヤマムラ酒店

生酒はわかった。じゃあ生詰、生貯蔵は?

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生酒のことが理解できれば、生詰、生貯蔵を理解するのは簡単です。ようは火入れの回数と行程の違いです。下の図を見てください。

  • 普通酒=搾り→【火入れ】→貯蔵→【火入れ】→瓶詰め
  • 生酒 =搾り→【---】→貯蔵→【---】→瓶詰め
  • 生詰め=搾り→【火入れ】→貯蔵→【---】→瓶詰め
  • 生貯蔵=搾り→【---】→貯蔵→【火入れ】→瓶詰め

以上のように、火入れの回数と火入れを行う場所によって名称が変わってきます。生の良さを生かしたいけれど味を安定させたい、また管理の難しさによって生詰めや生貯蔵という工程で造られる日本酒もたくさんあります。 このように、本当の生酒は一度も火入れをしていないもののみに限られるのですが、現在出回っている日本酒の多くは生貯蔵酒が多くなっています。

火入れせずに貯蔵し、出荷前に火入れすることによって生酒の味わいを残しつつ味を安定させるということですね。この場合、ラベルにはしっかりと生貯蔵酒、生詰め酒という表記をしなければなりませんが、生ということを強調したいがために、ラベルにでかでかと「生」の文字だけを目立たせているお酒もありますので、間違えないようにしましょう。まぁ生貯蔵は生貯蔵でおいしいんですけどね。

さらに言えば、生詰めのことを「ひやおろし」という言葉を使って販売することが日本酒業界では一般的になっています。「生詰め」あるいは「生詰」という表記があるものもありますが、多くの場合「ひやおろし」という名称が使われています。特に夏以降に販売されるものは、春のうちに火入れし味を整え、夏の間貯蔵、そして秋口に出荷するという工程を総称して「ひやおろし」というので、この場合、生詰めはあまり使われないですね。

ちなみに上の画像は「黒龍 ひやおろし本醸造原生酒」。黒龍のひやおろしも美味いのでぜひお試しあれ!黒龍についてはこちらをどうぞ。

参照:「大吟醸はここから始まった!日本酒「黒龍」の大吟醸に掛ける思いがすごい!

画像参照元:酒味の店

生酒も賞味期限ないの?

先ほども言いましたが、日本酒には賞味期限を記載する義務がありません。それは生酒も同じで、言ってしまえばどれだけ時間が経っても飲むことはできるということです。ただし!美味しいかどうかという保証はありません。特に生酒などしっかりとした保存方法が必要なお酒はちょっとでも雑に扱うと「老ね(ひね)」という決して美味しいとは言えない味がついてしまいます。

直射日光が当たらないのはもちろんのこと、しっかりと冷蔵保存し、開けてしまったらできるだけ早く飲みきるようにしましょう。


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