あらばしり……って何?という人のための日本酒講座!覚えておきたい日本酒の基礎

あらばしり……って何?という人のための日本酒講座!覚えておきたい日本酒の基礎


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日本酒がほかのアルコール飲料に比べてとっつきにくい原因の一つに、用語がわかりづらいというのがあるように思います。

吟醸、山廃、にごり酒、ひやおろし、日本酒度酒造好適米…上げればキリがないほど、聞いたことがあるようで意味をしっかりと理解していない言葉がたくさんあります。

そして、今回のあらばしりもそうです。ラベルに「あらばしり」と書いてあっても、それが何を意味するのか、あらばしりによって味がどう変わるのかを理解しないまま、「書いてないより書いてあった方が、プレミア感があってきっとうまいんだろう」という安易な考えでお酒を選んでいる人もいるのではないでしょうか。

あらばしりかどうかで日本酒の味はがらりと変わりますので、この機会にしっかりとチェックしてみてください。あらばしりのことを理解する際には「中汲み」「責め」という言葉も一緒に見ていくことになるので、こちらの言葉を理解できてないという方も合わせてチェックしていきましょう。

画像参照元:Vin De Vin HANDA

まずは日本酒の絞り方から!

あらばしりとはなんぞや?という疑問を解明していくためには、まず、日本酒造りにおける重要な過程である「絞り」について知っていかなければなりません。 現在、日本酒造りにおける搾りには「自動圧搾機」「槽しぼり」「雫しぼり」の3つの方法があります。まずはこの違いからみていきましょう。

自動圧搾機

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様々な分野で機械化が進んだ現在、酒造りにおいても機械を導入して作業を行っているところも増えており、自動圧搾機は現在最も一般的に採られている搾り方になっています。

機械で制御・管理するため、従来のやり方よりも時間がかからず、また醪から酒を絞り出し、酒と酒粕に綺麗に分離させることができ、お酒が空気に触れる時間が少ないため、味が変化するのを防ぎます。

しかしながら、自動圧搾機での絞りは圧力が強くデリケートなお酒、上質なお酒には向かないことがあります。普通酒や本醸造などのお酒を搾るにはもってこいの方法です。

画像参照元:酒泉洞堀一

槽しぼり

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槽しぼりは上記の写真のように槽の中に醪の入った袋を入れて、上から圧力をかけて酒を搾るという方法です。自動圧搾機よりも自然な重みに近い搾りであるため、酒にストレスがかからず上質なお酒を取り出すことができます。

上質なお酒を造る際には向いているため、今でも吟醸や大吟醸を搾る際のみ槽しぼりで行っている蔵も多く見られますが、機械で行うときよりも手間暇がかかり、なんとって言っても時間がかかってしまうというデメリットがあります。

画像参照元:福井県大野市の地酒

雫しぼり

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雫しぼりとは、写真のように醪の入った袋を吊り下げ(袋吊り)、上から圧力をかけることなく重力のみを利用して滴り落ちるお酒を溜めるというやり方です。上記の二つよりも純粋なお酒を取り出すことができるので、雫しぼりで造ったお酒は非常に質が高く、鑑評会などのコンテスト用に作られるお酒、また大吟醸の中でも特に上品なお酒を作る際に使用されます。

ただし、圧力を一切かけないため時間がものすごくかかり、その手間暇から雫しぼりのお酒は非常に値段が高沸することがあります。

画像参照元:久保田酒造

しぼりの工程「あらばしり」「中汲み」「責め」

さて、日本酒造りにおけるしぼり方について理解ができたところで、「あらばあしり」についてみていきましょう。

  • あらばあしり
    あらばしりとは、簡単に言うと上記のようなしぼり方をする際の最初の方にしぼり出されたお酒のことをいいます。自動圧搾機でのしぼりにおいてはしぼり出しの最初に出てきたお酒、槽しぼりにおいては袋を重ねたときの重み(上から圧力を加える前)に絞られたお酒、雫しぼりも同様に、吊り下げた時に最初の方に滴り落ちるお酒のことになります。 あらばしりの日本酒は、薄く白濁しておりアルコール度数は低め、味がしっかりと固まっていないため不安定ながらも勢いがあり、その雑味も含めて力強い香りと風味を楽しむことができます。
  • 中汲み
    中汲みはあらばしりの後、濁ったお酒が出尽くした後のお酒のことを言います。槽しぼりにおいては袋を重ねていき、ゆっくりと上から圧力をかけ始めた頃にこの中汲みと呼ばれるお酒が出てきます。 風味が安定していてバランスがよく、酒本来の味を楽しむことができるため、お酒のもっともいい部分と言われています。鑑評会などのコンテストに出されるときもこの中汲みが使われることが多く、それぞれのお酒の本当の風味を味わうことができます。 中汲み、中取り、中垂れなど、様々な言い方があります。
  • 責め
    中汲みのお酒をしぼりきると、さらに圧力をかけて最後のしぼりが始まります。このときにしぼられたお酒を責めといい、アルコール度数が比較的高く、雑味も多くなります。あらばしりや中汲みは市場に出回りますが、この責めでしぼられたお酒のみを使ったお酒というのはほとんど出回ることはありません。

現在は、自動圧搾機でのしぼりが主流となっており、一気に圧力をかけてお酒をしぼり出してしまうので、あらばしりから責めまですべてが入り混じったものがほとんどとなっています、わざわざあらばしり、中汲み、責めに分けてそれぞれの日本酒を造るところも減っていますので、同じ商品でもあらばしりや中汲みという表記があればそれだけ手間暇をかけて造ったものであるという証になります。

もちろん、先ほど申し上げたように、あらばしりは雑味が多く、キレのいい荒々しさがあるので、すべてのあらばしりが=美味しいとはなりませんが、日本酒の新たな面を発見するのにはおすすめです。


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